ポッキンキー

左に回して、エンジンキーを止めて抜く。降りて運転席ドアに鍵をかけようと手元に。おや、先端が?ない。鍵の先端がないよ。 うっそ。ポッキンキーかよ。 心が折れちゃうんですねぇ、とか鼻歌で歌いながら、運転席の周りで折れた先を探す。が見当たらない。懐中電灯を持ってきて、再捜索するも、ない、ない。いやぁな予感が車内に充満する。 スペアキーを持ってきて、エンジンキーを挿そうとする。入らない。 先っちょ、飲まれてます。 車、動かせません。 世の中トラブルばっかりです。 ディーラーか、鍵屋かなあ。 安く済みそうな鍵屋から問い合わせてみると、サンバーは過去の実績で取り出し困難だから、ディーラーに連絡してレッカーしてもらったほうが確実ですよ、という。 ディーラーはディーラーで、ドック入りの修理でシーリング交換だけど、部品取り寄せても、あるかなあ、ないかもなあ、みたいなこと言うし、ハンドルロックされてるからけん引も無理だし、鍵屋さんに連絡したほうが解決早いですよ、とたらい回されちゃう。 再度、5件の鍵屋にあたる。内、一件は取り出しできます、と言い切ったが、費用は六万だという。ハンドル部分まで、現場で解体して行いますから。 微妙に、即決できない。 他の鍵屋は、やってみないと分からないけど、出張工賃はダメでもかかります、という。 わかりました。ダメ元でも発注しよう。一番、空振り料が安価なあなたに。命運をかけます。あなたのプロ根性にかけます。 翌朝、ひょー、ちっくそ、これまじですか、 とか弱気な泣き言をつぶやきながら、暑い中、一時間ほど悪戦苦闘してくれた。 そして、救出してくれました。やってくれました。さすが、仕事人。 合鍵を新丁しよう。 それにしても、自宅の駐車場でよかった。出先だったらと思うとぞっとする。